年月が経つごとにバストが硬くいびつに変形してくるトラブルです。これは人工物であるシリコンバッグを閉じ込めようとする体の自然な働きですが、強く反応が出るとバッグの破損も引き起こします。
最初は柔らかく異物感もなかった乳房が、硬く変形するトラブルです。
まず初めに、触るとシリコンバッグの存在が分かるようになってきますが、この時点ではまだ柔らかいので不安に思う人も少ないでしょう。ただし、徐々に硬く感じるようになり、最終的には、硬式テニスボールのような形に収縮し、硬く盛り上がった状態になってしまいます。症状がひどいと痛みを感じることもあります。
「Bakerの被膜拘縮分類」という分類法の4つのグレードが、カプセル拘縮の診断基準となっています。
- シリコンバッグを包み込む被膜(カプセル)が厚くなり拘縮を起こしているため、バッグが変形しているのが確認できます。
- 異物であるバッグを閉じ込めようと締め付けることでバストが変形。
人体の正常な反応として、体内に入ってくる異物を排除しようとする働きがあります。このように、人工物であるシリコンバッグも、人体からすると異物と認識されますので、外に押し出そうとする力が働きます。
ただ、体内の奥に挿入されたシリコンバッグなので、押し出されるようなことはありません。そのため、体は繊維成分で被膜を作り、この異物を閉じ込めようとします。薄ければ問題ありませんが、この反応が強く出て被膜が厚くなると、シリコンバッグが締め付けられるため、バストが硬く変形してしまうのです。
カプセル拘縮が起こるのには諸説ありますが、手術において出血が多く炎症や感染症を起こした場合に多く見られます。
- テクスチャードタイプのシリコンバッグ。表面がザラザラしている。
表面がザラザラしているテクスチャードタイプのバッグは拘縮になりにくいという説もありますが、このタイプはバスト内で動きにくいという特徴があるので、実際には症状が分かりにくいと言った方が適切かもしれません。
カプセル拘縮は、シリコンバッグの豊胸を受けた10人に1人は起こると言われている症状。完全に防ぐことはできませんが、現状は手術後の超音波トリートメントやマッサージ、内服薬での予防を試みるクリニックが多いようです。
シリコンバッグにはつきものとも言えるこのトラブルには、バッグの入れ替え、もしくは抜去という2つの方法があります。ただしバッグを入れ替えても、また年月が経てば同じ問題が起こる可能性もあります。そのため、抜去することが根本的な解決と言えるのですが、バッグがなくなると当然バストは小さくなります。バッグによって乳腺や筋肉が圧迫されている状態が長年続いていたので、むしろ手術前より小さくなることも考えられます。
そうならないためにも、人工物を使用しない脂肪注入を抜去とともに行い、バストのボリュームを維持する方法がオススメです。
シリコンバッグによるカプセル拘縮のエコー診断カルテ
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- No.079
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- 42歳
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- 女性
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- 2016-02-24
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- シリコンバッグによる失敗
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- No.074
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- 25歳
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- 女性
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- 2015-11-13
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- シリコンバッグによる失敗
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- No.055
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- 38歳
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- 女性
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- 2015-06-12
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- シリコンバッグによる失敗
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- No.054
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- 34歳
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- 女性
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- 2015-06-08
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- シリコンバッグによる失敗
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- No.047
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- 54歳
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- 女性
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- 2015-03-31
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- シリコンバッグによる失敗