耐久面はかなり改良されましたが、人工物である以上、老朽化を止めることはできません。いつかは起こってしまうトラブルで、外見的な変形はもちろん、炎症などによる腫れや痛みを伴うことも考えられます。
インプラントの内容物が流れ出すため、片側だけしぼんでしまったり、表面が波打って形がいびつになったりすることで異変に気づく方も多いでしょう。また、ペコペコとした触感でバッグの空洞を感じる方もいます。
最近主流となっているコヒーシブタイプのバッグは、破損しても流出しないと一般的には言われていますが、破損して長期間放置すると体液が混ざることで液状化し、漏出することもあります。確かに破損直後は流出しないので外見的な症状はありませんが、じわじわと炎症が生じ腫れや痛みを伴ったり、皮膚を突き破ったりする可能性も考えられます。
また、ハイドロジェルなどは漏出すると体内の水分を吸い込むため、逆に片側だけ不自然に膨張することも見受けられます。
- シリコンバッグが破損して、被膜内へのシリコンの漏出が認められます。場合によっては、被膜外へ漏れ出すこともあります。
生理食塩水バッグもシリコンバッグも人工物ですので、耐久性には限界があります。そのため、老朽化により破損することは十分考えられます。例えば、カプセル拘縮を起こしている場合は、その圧力によって、よりリスクが高まります。
なかでもハイドロジェルやCMC(ハイドロキシメチルセルロース)などは耐久性に問題があるのか、10年も経っていないのに、破損して周囲に炎症を起こしているケースが多数あります。さらに、フランスPIP社製のシリコンバッグの場合は破裂の危険性があることが判明。その兆候がなくても抜去することを促す注意喚起が、厚生労働省からも出されています。
- 破損すると急にしぼむという現象もしばしば見られる
- 破損しても外見の変化が少ない。ただ、炎症を起こす可能性も
- 耐久性に難あり。破損でバストが不自然に膨張することも
- 耐久性に難あり。元々は青色の液体だが、抜去時は黄色く変色している
最近のシリコンバッグは耐久性に優れたものがほとんどですが、前述のように、永久的ではないため、回避する方法はシリコンバッグを使わないか、早めに抜去する以外はありません。
こちらもカプセル拘縮同様、バッグの入れ替えか抜去の2つの方法になります。バッグによって乳腺や筋肉は圧迫を受けているので、抜去だけだと胸がくぼんでしまうことも考えられます。そのため、人工物のような時間制約のない脂肪を抜去後に注入してボリュームを補うことがオススメです。
また、内容物が漏出していた場合はそれらをすべて洗浄して除去する必要があります。ただし、触診だけでは漏出範囲は分からないので、洗浄する際に内容物が残ってしまう可能性があります。こうならないためにも、抜去前に破損状況やバッグ内容物の漏出具合を超音波エコーやMRIなどで検査することが重要です
- 乳腺や筋肉が圧迫を受けていたためしぼんだバストに
- 人工物のトラブルや老朽化の心配が残る
- 無添加であり、時間が経ってもボリューム維持
シリコンバッグによるシリコンバッグの破損のエコー診断カルテ
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- No.080
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- 39歳
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- 女性
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- 2016-05-04
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- シリコンバッグによる失敗
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- No.056
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- 67歳
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- 女性
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- 2015-06-23
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- シリコンバッグによる失敗
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- No.043
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- 50歳
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- 女性
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- 2014-12-10
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- シリコンバッグによる失敗
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- No.041
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- 50歳
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- 女性
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- 2014-11-16
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- シリコンバッグによる失敗
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- No.040
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- 36歳
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- 女性
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- 2014-10-18
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- シリコンバッグによる失敗