大きな塊で壊死した脂肪を閉じ込めようとしてできた被膜の周囲に、カルシウムが沈着するトラブルです。程度が強過ぎると吸引することができず、摘出手術が必要になることも考えられます。
塊で壊死した脂肪を覆う被膜(カプセル)の周囲に起こるトラブルなので、症状としては硬いしこりを感じます。石灰化が進むと、しこりが大きくなったように感じるでしょうし、ごつごつした感覚も強くなります。
レントゲンや超音波エコー、CT、MRIなどでは、白い陰影が映り込みます。
- 石灰化した部分は超音波を反射するため、それより深部は撮影されず黒い状態で映し出されます。
被膜(カプセル)の周りでは、小さな炎症が継続して起こっています。この炎症により、体液中に含まれるカルシウムが石のような結晶となり沈着することが原因です。
豊胸手術をしていない女性でも石灰化を起こすことはありますが、炎症が石灰化の誘因となっています。
- 被膜(カプセル)の周りの炎症により体液のカルシウムが結晶になる
シリコンバッグの石灰化とは違い、これはドクターの手技の問題で起こるトラブルです。大きな塊での脂肪壊死を起こさないためには、不純物を取り除いた質の良い脂肪を注入すること、まとめて1ヶ所に注入しないこと、限度量を超える脂肪を注入しないこと(おおよそ250ccが限度)といった3点がポイント。これまでどのように脂肪注入の手術を行ってきたかなどを質問し、これらを実践できるだけの技術を習得しているドクターを選ぶことが予防につながります。
石灰化を完全に治療するためには、今のところ切開して摘出する方法が標準的と言えます。マンモムートという検査機器は硬い石灰化を削り取ることもできるので、可能性としては治療法のひとつになるかもしれません。実際に良性腫瘍の摘出に使用している医療施設もありますし、これなら最小で5mmくらいの傷でも治療可能と考えられます。
また、石灰化の程度にもよりますが、しこりの除去を目的にベイザーリポで壊して吸引する方法があります。